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初めてこの目で相撲取りを見た時はちょっと感動モノでした。と同時に自分がデブ専であることをまざまざと思い知らされることにもなりました（笑）。
あれはいつぐらいだったでしょう・・・社会人になって2、3年間は忙しくて夏休みもろくに取れなかったんですが、それが経過したあたりでしょうか。僕は8月にまとまった夏休みをとってバイクで北海道旅行に出かけたんです。それは社会人になってから初の北海道旅行でした。学生の頃は毎年のように北海道に行って、まあ金もないので朝から晩までほとんど走りっぱなしのツーリングだったんですが、そんな北海道旅行も就職してからはなかなか思うように休みが取れず、学生の頃に行ったっきりだったんですよね。
僕にとって夏の北海道といえばバイク。移動する手段としては最も機能的で美しい乗り物、オートバイ。車のように鉄板で囲われておらず、体がむき出しなので危険といえば危険ですが、その危険度と面白さを天秤に掛ければやはり面白さを取ってしまうんです。その好きなバイクに乗って北海道の雄大な（ってかだだっ広い）土地をただひたすら走るんです。地平線の彼方に消えるその先の道を目指して走る。別にちんたらちんたらでも、突っ走ってもどちらでもいいんですが、そこには恍惚とも言えるような気持ち良さがあるんですよね。脳が、肌が、肺が、無感覚に近くなるんです。きっとα（アルファ）波がたくさん出ていることでしょう。学生時分は僕はなけなしの貯金をはたいてこのα波が出まくりの快感を得に北海道に行っていたようなものなんです（笑）。
北海道には何人は友人がおります。実家のある友人もいれば、就職などで北海道にいる友人もいます。前者の中の一人に僕がちょうど北海道にいるときに帰省しているという友人がいたので彼の家に寄ってみることにしました。僕は実は密かにこの家が好きでした。別に密かにする必要もないんですが、何となくそんな感じで。だからその友人から誘われた時はとても嬉しかったです。というか待っていましたし。それは何故かというと、そこに行くと必ず酒盛りになってしまうからなんです（笑）。彼の親御さんや妹さんたちと過ごすのは楽しいし、北海道に住む人間が好きだったのです。ええ、無条件に。かなりの色眼鏡ですよね。分かってます。そんなこんなで北海道に旅行するときはそこでの飲み会は絶対に外したくないイベントだったのです。
その友人の親父さんは大の酒好きでした。それも日本酒好き。僕がそこに行く時はいつも僕に親切にしてくれて、呑めや呑めやと。天気の良い日には外でバーベキュー、天気が悪くても家が広いので中で酒盛りです。まあ僕も酒は嫌いな方ではないので・・・かなり表現に語弊があるかな、ええ、酒はとて〜も好きな方なので友人の親父さんと気が合ったんですよね。そんな感じで、それ以来「北海道に来たらウチに寄れ」とありがたいお言葉を頂いておりました。行けば行ったで酒盛りになるという嬉しい習慣ができていたんです（＾＾）。酒飲み同士だと何も躊躇もせず、何の遠慮もなしにいっぱい酒が飲めてしまうという怖さ。「少しは遠慮しろよ」という僅かに僕に留まっている自制心も「それでいいのよ、ムフ」という悪魔にいとも簡単に負けてしまいます（＾＾；）。友人Ｙ。親父さん。今まで本当にお世話になりました。ありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。ムフ。
今回もいそいそとお邪魔し、酒盛りをしてもらいました。そしてその親父さんが僕を大相撲の巡業に誘ってくれたんです。ちょうど大相撲の巡業が北海道に来ている時で、そのチケットがたまたま2枚手に入ったそうなんです。そしてその1枚を僕に譲ってくれるのだと。相当嬉しかったです。なんせ当時僕は相撲をナマで見たことはなかったですし、僕にとって大相撲とはまさにテレビの中だけでの出来事でしかなかったですから。しかし今考えるとそのチケットは「たまたま」手に入るシロモノなんでしょうか。僕のためにわざわざ手に入れてくれたものではありますまいか。いずれにせよ有り難いに違いはないです。
明朝、僕と親父さんは少々二日酔い気味でしたが、巡業の会場に出かけました。会場は意外と近くでした。歩いて15分ぐらいでしょうか。会場は学校のような図書館のような感じの建物で、いわゆる公的な建物という感じでした。その会場に近づくにつれ徐々に騒がしくなってきます。ええ、確実に近づいているのがわかって僕はドキドキしていました。人の出も結構あるようです。そんな中、徐々に人の群れの中にいい体をした相撲取りの姿もちらほら見えてきました。ついに来たんです。ついに間近で今まで見たかったものが見れるんです。さらにドキドキしながら奥へ奥へと。そのうち知っている力士もいたりして親父さんには内緒ですが既にかなりテンションが上がっていました（笑）。ノッシノッシ。いたるところで相撲取りがまるでクマ牧場のクマようにたむろっています。信じられない光景。その時思いました。この旅行はもうこれだけで当りだと。そしてそんな光景を見てドキドキしている自分が「こういう男たち」が好きなデブ専なのだと思い知らされました。
会場の中では既に気迫に満ちた相撲が取られています。格で言うと三段目あたりでしょうか。場内の熱気は既にかなりムンムンになっていました。夏でしたし、風もそんなになかったのでほんとにムンムン。屋外を見渡せばグラウンドには相撲取りがウォーミングアップしたり休んだりしてちょっとホノボノしている光景も見えます。控え室みたいなものがないのか、足りないのか、そんな光景が極めて普通に繰り広げられているんです。僕は相撲の取り組み観戦もそろそろに、親父さんには申し訳ないけれどほとんど別行動していました（親父さん、ごめんね。）。会場の中と外を交互に出たり入ったりして相撲取りという生き物を見ていたんです。ええ、近くでなるべく多くの時間を見ていたかったので。いやもはや「見ていた」なんてナマ優しいものではなく「観察」していたんですよね（＾＾；）。テレビの中でしか見られない憧れの生き物が目の前にいる。思わずジーっと見ざるを得ません。彼らにとって僕はさぞかし気味の悪い存在だったでしょう（＾＾；）。
そんなこんなであっという間に3時間が過ぎ去りました。本当にいい思いをさせて頂いたと思います。しかし僕の顔がいつになく、しかも相当違っていたんでしょうね。僕は嬉しさのあまり、迂闊にも顔の表情に神経を使うことを忘れていました。恐らく終始ニヤけていたんでしょう。でなければ親父さんにあんなこと言われないだろうから。帰り際に親父さんに言わたです。「○○（僕）は、相撲より相撲取りの方が好きみたいだな。」ドキッ！。笑ってごまかしたけど、それ図星ですよ、親父さん。するどい！。とても恥ずかしかったのを覚えています（＾＾；）。
いい思い出です。
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夏の道央
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