遠くの君へ  (2002/02/01)   
元気かー?
東京はまだ雪は降っていないみたいだね
でも寒くはなってるだろうから風邪などひかないように気をつけろよ
こっちはな、寒さが一層と厳しくなって雪も深い
スノモがイカれたらかなりヤバイな

あれから俺は結構単調な毎日を送っているよ
知っての通りここには何もないしな、手付かずの自然の他には
しかしこう静かな所で毎日を過ごしているとな
感覚が研ぎ澄まされていくような感じがするんだよね
何でもないことが新鮮に見えるんだよ
とうとう俺、頭おかしくなったかなぁ(笑)

凍てつくような外気と、そこに浮かぶ息の白いこと
白銀の大地と、それを覆う空の青いこと
朝日に照らされキラキラ光るダイアモンドダストがきれいなこと
夕日に照らされ蜃気楼の中でゆれる樹氷がきれいなこと

ついては消えるキタキツネの足跡が愛しいこと
鳴いては息を潜める鳥たちの囀りが愛しいこと
ほろ苦い濃黒色のコーヒーに安堵を感じること
喉を焼く琥珀色のウィスキーに冒険を感じること

軒先の氷柱の造形が自然の法則によりなされていると教わること
俺の精神と肉体もまた自然の法則には逆らえないと教わること
すべてを包み込む吹雪が畏敬を放っていると感じること
すべてを包み込む静寂が慈愛に満ちていると感じること
それに・・・

吹雪いていない夜に空を見上げれば、星たちのきれいなこときれいなこと
星座はからっきしなんだが、今窓から見えているのは恐らくカシオペア

ところでお前さぁ、休みが取れたらこっちに少し遊びに来ないか?
まっ、あるのはさっきも言ったように自然のみだけどな
たまにはいいんじゃないか?
人里離れた静かなところでゆっくりするのも悪くないぜ
とりあえず酒はたんまりあるしよ(笑) どうだい?

そうそう、最近夜になるとキタキツネがよく来るようになったんだけど、
最近は近づいてもあまり逃げなくなって、それがちょっと嬉しい
お前が来る頃にはそいつがいい飲み友達になってるかもしれないな(笑)
じゃあな 返事待ってる

裏手の林